シャトー　ボールガールは、ポムロールにある大部分のシャトーとは異なり、真の“紳士の邸宅”の造りになっています。ボルドー大劇場を建てた有名なヴィクトール　ルイの弟子によって、１７９５年に建てられました。
一度は訪れたい、魅力的で穏やかなたたずまいです。
幅が広く上品な石のテラスを有する２階建てで、両端にはスイレンや蓮が咲く堀や、古い樹が植わった広大な庭へと続く塔が建っています。
中庭もまた素晴らしく、特に春には樹齢１００年の藤が花を咲かせ、石の壁を覆い尽くすほどです。
この、穏やかで調和のとれた建築物に魅せられたアメリカ人建築家、ポレマス＆コフィンは1932年にニューヨーク州ポートワシントンに、グッゲンハイム未亡人の依頼でシャトー　ボールガールを模した邸宅を建て、“ミル　フルール”と名付けられました。
シャトー　ボールガールは１１世紀にマルト騎士団によって創設されました。１９９１年に“フォンシエ　ヴィニョーブル社”に買収され、それをきっかけにぶどう畑、醸造所、熟成庫が全面的に改良されました。
栽培計画や土壌の排水、メルロとカベルネフランのクローン選別、マッサールセレクション（集団選別）等の新たな試みにより、シャトー　ボールガールの畑はグランクリュにふさわしいテロワールに生まれ変わりました。
１９９２年から若木や一部の古樹で過剰になったブドウの房を若いうちに間引き、房の周りの葉を除去するヴァンダンジュ　ヴェルトが行われています。
この技術によりブドウはよく熟し、果皮に含まれるアロマやタンニンが凝縮し、ワインにテロワールの上品さや複雑さが表れるようになりました。